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新規事業の顧客開拓は何から始める?GTM戦略のつくり方
やらない先を決め、行く先を外から確認できる1行の条件に絞る。

この記事の概要
新規事業の顧客開拓は、行く先を増やす前に行かない先を決め、対象顧客を公開情報で確認できる1行の条件に絞ることから始まる。条件が1行なら、候補が落ちた理由が揃い、条件の直し方が分かる。本記事は、やらないことの決め方、選定条件の作り方、時間軸の違う2本の接点の持ち方、段階ごとの社数で進み具合を測る方法を、失敗要因の調査と自社の検証をもとに解説する。
新規事業の顧客開拓は、やらないことを決めるところから始める
答えは、行く市場を1つ選ぶ前に、行かない市場、作らない接点、任せない仕事を先に明文化することである。
GTM戦略(Go-to-Market、誰に・どの価値を・どの販路で届けるかの計画)は、新規事業では検証できる仮説として置く。仮説を置く前に決めるのは「やめる」の方で、理由は稼働の分散にある。少人数の新規事業で行き先が3つあると、調査も下書きも3等分され、どの1つも検証が終わらない。
| 先に決めること | 決め方 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 行かない市場 | 既存の接点で足りている先、勝ち筋の無い先を外す | 紹介で足りる先にも広告や営業の稼働が流れる |
| 作らない接点 | 自動化しない工程、外注しない工程を書く | 送信や交渉まで仕組みに寄せ、信頼を落とす |
| 任せない仕事 | 承認、商談、見極め、交渉は人に残す | 判断の責任が曖昧になり、承認が止まる |
「作らない」を明文化すると、残った1本に調査と下書きの稼働を集中できる。上の一次資料が示す「市場を見つける前に終わる」失敗は、資金の問題として現れるが、その手前では検証が終わらないまま稼働が散っている。
GTM戦略の対象顧客は、外から確認できる1行の条件に絞る
答えは、商談の前に公開情報だけで当てはまるかを判定できる条件を、1行で書くことである。
「海外の食品ブランド」「中堅の製造業」では、連絡する理由が弱く、落ちた理由も残らない。良い条件は、成長の勢い、他市場での展開、日本での代理店の有無のように、外から確認できる要素だけで組む。
| 条件の書き方 | 例 | 外から確認できるか |
|---|---|---|
| 属性だけ | 海外のウェルネスブランド | できるが、当てはまる社数が多すぎる |
| 属性と状況 | 海外で伸びていて、アジアの他市場に進出済みで、日本に拠点も正規代理店も無い | できる。商談前に判定できる |
| 意向で絞る | 日本進出に関心がある企業 | できない。接触するまで分からない |
条件を1行にしておくと、候補が落ちたときの理由も1行で記録できる。当社の海外ブランド向けの検証では、候補1,000社以上から深掘りした企業のうち、約3割は調べてみると既に日本進出済みで見送りになった。落ちた理由が「日本進出済み」の1種類に揃ったので、直す場所は条件の中身ではなく、日本法人と代理店の確認を発掘の段階へ前倒しする、という工程の順番だと分かった。この数字は2026年9月11日時点の当社の台帳の実測で、返信率や商談化率は母数と期間が確定していないため書いていない。件数は条件が機能しているかを見るためのもので、市場全体の傾向を示すものではない。
顧客仮説の良し悪しは、当たった数より、外れた理由が揃うかで決まる。 理由が5種類に散るなら、条件が緩い。理由が1種類なら、その確認を前に動かせば済む。
顧客開拓の接点は、時間軸の違う2本に分けて持つ
答えは、対象企業への直接の接触と、その先に複数社を抱える組織を経由する接触を分け、指標も分けることである。
直接の接触は、候補の発掘、条件の検証、意思決定者の特定、個別化した下書き、送信、と進み、今月の件数で進む。組織を経由する接触は、業界団体、輸出促進機関、販路を持つ企業のように、その先に複数社を抱える窓口への設計された1対1の接触で、窓口の特定から実案件まで半年単位で1件動く。
| 接点 | 進む単位 | 測るもの | 向く場面 |
|---|---|---|---|
| 直接の接触 | 月 | 検証済の社数、下書き件数、返信 | 条件が固まっていて、候補を自力で並べられる |
| 組織を経由する接触 | 半年 | 窓口の特定、初回の面談、紹介の有無 | 1社ずつ当たるより、束で届く方が早い |
接点を2本に分ける理由は、時間軸が違うからである。 同じ台帳で同じ指標を追うと、半年単位の接点が「進んでいない」ように見えて手を止めてしまう。直接の接触を主軸にし、組織経由は並行で仕込む。どちらも送信と交渉は人が行い、自動送信の仕組みは作らない。
新規事業のGTMは、段階ごとの社数で進み具合を測る
答えは、受注数ではなく、候補から商談までの各段階に何社いるかと、落ちた理由の内訳で測ることである。
計画を紙に書いた段階では、進んだかどうかを測れない。候補、条件で検証済、意思決定者を特定、接触、商談、の段階を台帳に持ち、各段階の社数を月ごとに見る。数字が示すのは受注の実績ではなく「どの段階に何社いるか」で、次に工程を足す場所が見える。
| 段階 | 記録すること | 見えること |
|---|---|---|
| 候補 | 出所(条件で選定、展示会、紹介) | どの出所が検証を通りやすいか |
| 検証済/見送り | 見送りの理由を1行 | 条件の緩さと、前倒しすべき確認 |
| 意思決定者を特定 | 連絡先まで届いたか | 発掘の後に足りない工程 |
| 接触/商談 | 返信の有無と内容 | 訴求の当たり外れ |
台帳の目的は管理ではなく、次に直す工程を1つ決めることである。 検証で落ちる率が高ければ条件か発掘の順番を直す。特定できても連絡先まで届かないなら、そこに工程を足す。返信が無ければ訴求を変える。
やめる基準も先に決める。条件を2回直しても検証を通る社数が増えないなら、その市場は対象から外し、行かない先の表に戻す。やめる基準が無い新規事業は、検証の終わらない市場を抱えたまま、資金の話として終わる。
明日からやることは3つで足りる。行かない市場、作らない接点、任せない仕事を1行ずつ書く。対象顧客の条件を1行にし、公開情報だけで判定できるか候補20社で試す。落ちた理由を1行ずつ記録し、種類が揃うかを見る。対象が決まった後の下書きと送信の分担は営業AIの自社検証で、社長に集中する営業の分け方は社長頼みの営業を少人数で回す体制で扱っている。
LET’S MAKE MOVES.
商品はある。でも、最初の顧客が見えていない。
Scratch Secondは、やらない先の決定、選定条件の1行化、接点の設計、台帳での進捗管理までを支援します。現在の商品、想定顧客、これまでの反応をもとに、最初に確かめる条件を具体化します。
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